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カナダ国AB州でソーシャルワーカーしてます。 生活の一こま、カナダのニュースなど、 徒然に書き綴ってます。メールはこちら wasabisyouu@gmail.com
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今日は、アルバータ州の児童福祉の仕組みについて書いてみようと思う。


児童福祉の仕組み、運営の仕方は、教育、医療などと同じように、

州の管轄なので、州ごとに違っている。



でも、州ごとと言っても、一つの州は日本の何十倍も大きいので、

州内で管轄が分かれている。



アルバータ州は、確か10区(?)ぐらいあったと思う。

この市と周辺の市、町は、第6区。



この区内の中に、たくさんの児童福祉事務所がある。

通称、Children’s Servicesと言われている。

Children’s Services のケースワーカーは、公務員である。

半数以上は、BSW、RSWを持っていない人が多い。。

この職種は、RSWを免除されている。

でも最近では積極的に、BSW、RSW、RSWを採用している。



一度、BSWを卒業した、3年前ぐらいに、この仕事にアプライしたが、

一次試験は、筆記、二次は面接。面接で落ちた。

今から思うと、いかなくてよかったと思う。




ある家庭が、Children’s Services に関わる流れは下記のとおりである。



1)学校の先生&SW、病院のSW、医者、看護師、ディケア(保育所)

(指定時間通りに連絡なしで子供を迎えに来なかったら、ネグレクトと見なされて、即刻通報)。

周辺の住民、警察、両親、家族、親戚、知り合いなどが、子供が何かおかしい、(虐待やネグレクトされている)と思われたら、報告。

匿名なので、誰が報告したか、分からないようになっている。

AB州では、子供が虐待、ネグレクトの兆候が見られた場合、

通報する事が義務付けられている。

確証がなくても、報告する必要がある。

確証、立証するのは、児童保護委員の役目だからだ。






2)Children’s Servicesの、Assessor(調査する人)が、学校、病院、などにやってきて、調査する。

学校、病院に訪問(子供が話を出来る場合、親に話を聞く前に、

子供に話を聞く)、そして家庭訪問。

緊急の場合は裁判所から許可をもらって、子供を親などから引き離す。

そうでない場合は、10日以内に、調査を完了させ

(家族、先生、いろいろな人から話を聞く)、

子供が安全か、保護の必要があるか、または、Family Enhancement Agreementと言って、

任意のサービスに移行させるか決める。



この時点で、Assessorから、他人であるケースワーカーに移行するのである。

調査人は調査をするのが仕事、ケースワーカーはその後の

保護観察役と言ったらいいだろうか。



AB州のChildren’s Servicesのケースワーカーは、日本と違い、とても力がある。

その家庭が、ケースワーカーが来た際、居留守を使っても、

警察と同じように、裁判所から許可をもらうので、協力しないと、

即刻子供を取り上げられる可能性がある。



この市には、日本のような、セキュリティの固いマンションなど少ないので、

プライバシーの壁と言うのはあんまり存在しない。




3)子供の危険な状態にある場合、Apprehension (子供を親や保護者から引き離し)。

Assessor は、裁判所へ、Temporally Guardianship Order(対外4〜6ヶ月)、

Children’s Service 、いわゆるアルバータ州政府が、保護者代わりになる

と言う裁判所の命令を出してもらう。

(もちろん、親や保護者は、弁護士を立てて異論を唱える事が出来る)

その間、子供はFoster careやグループホームなどに預けられる。



(もちろん、Foster careやグループホーム内が、一番安全とは限らない。。

子供に悪影響を及ぼす可能性も大である)。




4)そして、Children’s Serviceが、私ら非営利団体へ、サポートの依頼をリクエストするのだ。

究極の目標は、子供が家族のもと帰る事、家族が十分に、子供の世話、

保護など出来るように助ける事である。

保護者、家族、Children’s Services のケースワーカー、

Family Support Worker が一緒になって、

より良い家庭環境を営んで行けるように、協力し合うのである。




裁判所の命令の中に、家族は、Family Support Workerとは、

一週間に最低1回、多く時には、3、4回会う事とというのが組み込まれている。

もし会わなければ、協力する意向がないものと解釈され、

子供は帰ってくる時期が延びたりする

(ケースワーカーがまた、裁判所に訴えて、命令の変更を願い出るのだ)



5)Temporally Guardianship orderが切れたり、切れる前に、改善が見られた場合は、

子供は家庭へ返され、case closed となる。

Supervision Orderと言って、3、4ヶ月、保護観察の期間が、裁判所から命令される事もある。

子供への、政府が保護者代わりとなる期間は決まっており(Temporarlly Gurdian Orderなどの元で)、

10歳以下は、通算400日だったか。。(うろ覚えであるが)。

それ以内で改善が見られない場合は、Permanent Guardianship Order (極端に言えば、親が、親権を放棄して、政府が保護者となるという命令)を

裁判所に提出するのである。

もちろん、親は、弁護士を立てて、異議を唱える事が出来る。



もし、Permanent Guardianship Orderが裁判所から認められると、

子供は、親戚、養子縁組、グループホームで暮らす事になる。

18歳まで、州政府は子供たちの面倒を見る事になる。




上記にも書いた通り、完璧で、一番いいシステム、運営の仕方とは言い切れない。。いろいろ欠点などがあり、さらに改善の余地あるのだ。


前に、どなたから 、『市内のどのエリアが多いか』と質問されたが、

答えは、どこも同じ。



もう一つ、低所得は必ずしも、子供の虐待やネグレクトの原因とは限らない。

もちろん、お金がないと、ストレスや夫婦喧嘩の原因となったり、

いろいろなオプションが狭くなるのは、否めない。




そして、もう一つの問題は、万年ケースワーカーの人手不足。

年々、どこの事務所もケースは増えているのに、ワーカーが増えない。

一人当たりのケースが30〜40になる事もある。

そして、ワーカーが燃え尽き、辞めて行く、そして人手不足の悪循環である。



家族、友達、親戚や地域のサポートがあるか、頼れる人がいるか、

我慢せずに、「助けて」と言える事が出来るか、

そういう信頼感のあるサポートがそばにいるか、


そういう社会つくりが必要、

というのが、重要なのかもしれない。


It takes a village to raise a child.

一人の子供を育てるのに、村一つの協力が必要なのである。


である。



最近また、日本で、5歳になる子供が虐待死というニュースを耳にし、心が痛んだ。


日本は、しっかりとした児童福祉のシステムを、早急に作る必要があると思う。

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忘れないうちに、記録として、私が関わったケースを紹介しようと思う。

ほとんどは、Closed Cases(解決はしていないが、ファイルが閉じられたケース)であるし、

匿名なので、プライバシーの侵害にはならないように、

気をつけて書きます。

ちなみに、下記のケースは、市内とは限りませんのであしからず。




SW卵の皆さん、どうやって手助けできるか、考えながら読んでみましょう。


まずは、忘れもしない、働き始めた当初、一番最初にもらったケース

1)母親Aさん(20歳半ば)薬物中毒、窃盗罪歴あり。
二人の娘、6歳と4歳は、元彼が引き取り、再婚した奥さんとの家庭で暮らしている。
薬物中毒症状があるまま、市内の病院で別の男性(出所中)との間に出来たS(息子)を産む。
すぐ、病院のSWがChildren’s services へ連絡し、私が担当となる。
結局その息子は、おばあちゃんが保護者となる。
私が担当した間、2年間、またもや別の男性と間に男の子が生まれる。
他のワーカーさん変わったので、その後どうなったかわからない。




2)中年カップル(40代)。16歳を筆頭に、3人の息子と、4歳の娘の6人家族。
旦那さんは、働いていた時、頭に大けがをし、人格が変わる。
Fxxxkを子供のまで連発し、ひどい体罰。
(頭の怪我だから、自分がやっている事はよくわかっていないと思われる。)
真ん中二人の息子は、ADHDと診断される。
2番目の息子は、おなかが空いていたとき、キャットフードを食べるくらい、衝動的に行動したり、正しい判別が出来ない。
その子供はしばらく病院に入院し、ほかの子供はFoster family一年程携わって、次のワーカーさんにtransferした。




3)20歳の母親。子供は6歳。母親自身、18歳まで、Children’s servicesのOpen file だった。




4)20歳前半の若いカップルと6ヶ月になる赤ちゃん。
お父さんは、IQがボーダーライン。
お母さんは、いろんな病気(精神的にも、肉体的にも)を抱えている(発作がでたり、本当は車いすに乗らなければならないのに、乗らない)。
携わっている間、DVの兆候が見られた。
でもお母さんは、否認した。結局、赤ちゃんをあきらる事に決まったので、Case closed.




5) とある国から18年前に移住してきた40代の女性。
ひどい躁鬱病。15歳と13歳の娘と、父親が違う4歳になる息子(3歳で、Type Iの糖尿病と診断される)。
母親の躁鬱病があまりにもひどく、母親は、糖尿病の子供の食事の世話を出来ず、娘たちがインシュリンの注射をやっているくらい。
子供たちはFoster careで預けられ、1年程して、母親の元に帰され、Case closed. お母さん、AISHをもらってはいるが、この家族はかなりの貧困。未だに気がかりである。



6) 21歳になるVさん(ホームレス状態)。
彼女の成長は、精神、知能的には、10歳ぐらいで止まっている。
絵本もろくに読めないのである。過去に3人の子供が生まれたが、いずれも放棄し、養子に出される。
4人目の女の子も、自分で育てるという意思が見られたので、一応チャンスを与えたが、こちらもやはり放棄する。

上記のケースに似たようなケースが、もう一件。




7)一度、プログの記事にも書いたが、21歳、二人の子の(3歳と0歳)がいる。
妊娠したため、高校1、2年で中退。Dyslexiaのため、読み書きは、小学生1、2年レベル。
分かれた彼氏に暴力を受け、警察をよんだら、すぐにChildren’s servicesのopen caseとなる。
家の中の汚さと言ったら、このうちが最悪だった。
結局、子供の保護の心配がないからと言う事で、Case closed。どうやって、子供が大きくなったとき、学校からの回覧やお知らせなど読む事ができるのだろうか?




8)5人子供がいるカップル。旦那はオイル関係の仕事で、2週間に一回しかかえってこない。
真ん中の子供には、重度の障害がある。下の子供は双子。
奥さんは鬱病で、2週間程ネットで知り合った男性と逃避行。
私が、MSWの実習が始まったため、他のワーカーさんに移される。




9)3人の子供(7歳、5歳3歳)を持つお母さん(25歳)。男性を取っ替えひっかえ。私が関わっている間、4人もの男性と関係を持つ。自慢げに、男性関係などを私に話す。鬱病、OCDの気配あり。子供を叩いたり、大声でしかったり。




10)22歳のお母さんLさん。6歳の娘と2歳の息子。
お母さんは、10代の頃、性的虐待を義理の父親から受ける。
Lさんの母親も、ドラッグ中毒で、薬を買うためのお金を作るため、娘を売春。
それでも、Lさんが16歳の時に産んだ娘は、Lさんがまだ高校という事もあり、Lさんのお母さんが育てていた。
つい最近になって、いっぺん、二児の母となる。
もちろん、Lさん、PTSD、など、様々なメンタルの面で症状が出ている。
Lさんは、6歳の娘が、Lさんハンドバックからチューンガムを盗んだという事で、体罰(ガムであろうが、お金であろうが、盗む事はいけないと説いていた)。




11)脳卒中で左半身不随の40歳のお母さん。息子は16歳で、ADHDと診断される。




12)FASDの22歳になるお母さん。2歳の娘がいる。ネグレクト。
日常生活をする上で、障害がある。子供の世話が出来ていない。
知らないうちに、Case closed されていた。




13)10歳の男の子。8歳まで、実の母親に育てられていたが、小学校1〜4年までの間、学校へ通っていない。
実の母親は、アル中で、その男の子は下の兄弟の世話をしていた。おむつを替えたり、ミルクをあげたり。
見るに見かねた実の父親と、おばあちゃんが引き取り、一緒に暮らし始めたが、失われた幼少8年というのは、大きすぎる。ODDと診断される。
実の父親と、おばあちゃんがどうやって、この問題ある男の子を子育てするか。




14)38歳のお母さん。9歳の娘がいるが、既に小学校1年を留年している。
出席が半数にも満たなかったからだ。
娘が、「おなかいたい、頭いたい」と言うたびに学校を休ませているのだ。
娘が病気になるのではなくて、母親がいかせていないのだ。






まだまだケースはあるが、よく覚えているのはこれらだろうか。


書き出したら、けっこう覚えている事に気づいた。


いずれも悲しいケースばかりであるが、

たくさん聞きすぎると、あんまり悲しくなくなる

(良くない事だが、Desensitizationという)鈍感になってしまうのだ。



長く続けられるコツは、

あまり深入りしない事、

一生懸命でない事。

ある程度、距離を置く事、

仕事が終わったら、忘れる事。






もう一つ、

人の行動、言動など、変えることは出来ないが、

影響を及ぼす事は出来る。

それが変化に繋がっていくのだ。


大切なのは、クライアントとの信頼関係である。


何度も言います、信頼関係です。それが築くことが出来るまで、時間をかけてください。

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前回の記事で、読者を怖がらせたみたいで、、

ソーシャルワークは危険な仕事だという意識を植え付けてしまったようです。


弁解するつもりは無いですが、

看護師さんだって、お医者さんだって、先生だって、セラピストやカウンセラーも、

個々の家庭をお邪魔しますよ。


おまけに、テレビのケーブルや、電話、配管工事、電気などのそういう人も、

お家へ伺いますよねー。


ソーシャルワーカーがお宅へ赴くという事は、何らかの問題が有って

行くわけだから、事前にある程度、情報は集まってるんですよね。





でも、看護師、医者、介護師さん、ケーブルガイ、配管工事の人たちは、

その家族のバックグラウンド(特に悪い方)を知らないで、お邪魔している訳だから、

もっと怖いと思いませんか??

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まずは、其の一(此処をクリック)から、必ず読んでください。






読みました??


では、始めますよ。


私の車から降りて、刑事さんの車に乗ってくれと言われた時、

反射的に、後部座席にある自分のバッグを取り出した。(これが後々、功を奏す)。

そして、自分の車をロックした。

(よく考えたら、警察が前後いるので、誰も車の中をアサって盗むような事をするアホは居ない。でも、いつもの癖でロックした)


その刑事さん、そんなに背も高くなく、

ガタイもマッチョでなく、

顔もイケメンでもないが、悪くもない。

金髪のショートヘアで、何となく、Murdoch mysteriesの、

マードック刑事を起こさせるような



マードック刑事


清潔感、正義感と、頭の回転が良さそうな雰囲気が漂っていた。




刑事さんの車の後部座席はロックがしてあって、すぐに明けられなかったが、

言われるがまま、後部座席のドア側に突っ立っていて、鍵が開くのを待った。

刑事さん、中からロックを解除し、車に乗る様に指示する。

車の中は、普通の何の変哲も無い車だった。




刑事さん 『私は、XX刑事で、ある犯罪を調べている所で、ちょっと聞きたい事が有る。』

と言い始めた時、彼の携帯が鳴った。


どうやら、他の警官と話をしているようで、私の名前を何回か電話口で言い、今、私がが彼の車に乗っているという状況を伝えていた。


私、え、何何?何が始まるの?


と思い、ちょっと緊張しながら、電話を終えるのを待っていた。



山葵 『じゃ、私の運転、車の事じゃないのね』と、アホな事を刑事さんに聞いた。

刑事さん 『ノー』と笑いながら答えた。

山葵、この瞬間、怖いのを通り過ぎて、ちょっとエキサイトしてしまった。

どんな犯罪なんだろう。。。

とワクワクしながら、刑事さんが話し始めるのを待った。


刑事さん、ノートブックの大きさの学生が使うようなバインダー

テレビで見るような、ポケットサイズじゃないのね。

(紙には警察のロゴが印刷してある)そして、、デジタルリコーダーを取り出す。

リコーダーはグラブボックスの上に置いてある。

多分、取り出すと同時に録音し始めたのだと思う。ちょっと覚えていない。




刑事さん 『ある事件の捜査中である。今、君が出て来た所について関心がある。朝から今までの一通りの行動を教えてくれないか』



私 『。。。。』どこから話始めればいいのか分からず、、ちょっと沈黙。


刑事さん、私の顔をじっと見る。せかさず、忍耐づよく待っていた。


私 『えっとーー。わたしは、ソーシャルワーカーで、XXXで働いていて、今、家を出て、クライント1時間程話をして、今終わって、出て来た所なんです。あ、そうそう、名刺があるから、、、ちょっと待って。。』


と聞かれもしないのに、職業、住所、働いている所、など、話始めた。

話ながら、ウソで無い事を証明するため、ごそごそと鞄の中にある、名刺を探していた。


刑事さん 『いいよ、いいよ』と言ったが、私の気が収まらない



私、鞄の中を根気よく探す(こんな時に限って、名刺が見つからない。ちょっと探して、)


私 『有った!ほら、これ』と名刺を刑事さんに差し出す。



刑事さん返事をしたかどうか覚えてないが、私の名刺を受け取る。

思ったより緊張も恐怖も感じず、ちょっとエキサイトしながら、また話し始める。

児童福祉の仕事をしていて、12時半に家を出て、とあるクライアントの家に午後1時に着いて、

1時間程、家族と話をして、2時頃終わり、ちょっとトイレに行きたかったから、

コンビニかガソリンスタンドを探していた。と話をした。



刑事さん 『じゃ、ちょっと、会った家族の名前を言ってもらえないか』

私 『えっと』と、 うちらが使っている、Intake Form(という家族の情報、状況、問題点などが書いてある)を見せる。そして、子供の名前はXXX、お父さんはXXX、おばあちゃんがXXX。


Confidential、一応プライバシーなんでシェアするのはちょっとためらったが、

私が刑務所へ行くより良いし、こういう時のプロトコル(規則)は

警察に協力する事である。



刑事さん 『この人は誰?』ともう一人の名前をさす。

私 『会ったこと無いけど、名前はXXXで、叔父さんだって聞いている』

刑事さん 『家族がそう言っているんだね』

私 『そう聞いている』と言った。



私はピンと来た。ターゲットは、この叔父さんだ。




刑事さん 『一時間、何をしてたんだね』


私 『子供と、お父さん、おばあちゃんに会って、子供が学校でちょっと問題があっbehavioral management,など、どうやったら、家庭環境に有った方法で介入するか、解決するかという目的で、いろいろ話をしてた』


刑事さん 『何回、その家を訪ねたのかね?』

私 『えっと、3週間程前にこのファイルをもらって、、

先々週に始めてあって、先週は No-show、今週もNo-showが有って、

今日は4回目。でも、家に入ったのは、これが2回目』


刑事さん 『家の中で、なにか変わった事が無かったかね?』


私 『別に無いと思う』



わたしは心の中で思った、家の中がちょっと奇麗になっていたのだ。

この商売、観察力と洞察力が命。シャーロックホームズの様に、

ちょっとの時間で、家の隅々まで、観察する力が必要なのである。

家の中と言うのは、面白いもので、家族にとって、何が大事なのか、大切なのか、

何がStrengthsなのかWeaknessなのが、その人と話をする+10倍もその人と、

その家族が分かるのだ。

例えば壁や棚に飾られている写真、置物、ホコリのかぶり具合、家の中の匂いや、整い具合、散らかり工合など、

おもちゃ玄関先の靴の数とかジャケットとか、いろいろ分かるんです(当たり前ですけど)。


刑事さん 『その3人の他に誰か、家に居なかったか?』

私 『居なかったと思う。でも、リビングに居たので、地下や、2階の事は分からない』

刑事さん 『分かった。実は、Homicide investigation をしているので、鞄を見せてもらえないか』




Homicide 、、さ、さ、さ、殺人事件!!!





興奮が一気に高まる。

そう、私は仕事中、横45センチ×高さ35センチ×幅7センチくらいの、

黒い大きなバッグを持ち歩いている。その中に、私の商売道具、Case file(家族の情報が入ったファイル), Contact notes(メモを取るリーガルサイズのペーパー)、

たくさんのペンと携帯、名刺などが入っている。


刑事さん 『何回か、君があの家から出てくるのを目撃していたので、殺人事件に使われた武器などが、あの家から持ち出している可能性があるからだ』



映画でいう、私は運び屋か。。



というより、知らないうちに鞄の中に何かを入れられて、捕まったかわいそうな無実な一般人。


何の変哲も無い、おとなしいアジア人を選ぶのは、なんと頭のよい犯罪者だろう。





どうぞどうぞ、と鞄の中を見せる。

しばらく検査していて、何も無い事を確かめた。そして




今思うと、私が名刺を探そうとしているのを、刑事さんが別にいいと言ったのは、、

黒い鞄の中から、銃やナイフなどの武器を取り出す事をかもしれないと想定したから

刑事さんはためらったのかもしれない。






刑事さん 『ご協力どうもありがとう、これは、私の名刺。のちのち、質問が出てくるかもしれないので、コンタクトするかもしれない。』

との事。


私 『殺人事件て、何時のですか?』 

また何と大胆な質問。




刑事さん 『それは言えない』

私 『そうでしょうね』

刑事さん 『じゃ、録音を止める』


私 『じゃ、私のボスに報告してもいいですか?』

刑事さん 『問題は無いです』





私 『ちょっと怖かったです』思っても無い事を

刑事さん 『怖がらせてすまない、ありがとう』

私 『Thanks』(なんのサンクスか分からない。謎のコメントだ)






もしかしたら殺人犯が、今出て来た家の中に潜んでいたかもしれないと思うと、

怖くはないと言ったらウソになるが、でも、挑発しない限りは、

こういう人たちは家族や子供の居る目の前では襲ってこない(という事を願う)。

もし、家に誰かを囲まっていたら、何らかんら理由を付けて、

私らの様な知らん人を家には入れない(入れる人もいるかもしれない)。

何年もこの商売してて、いろんな人の家に行ったりしているが、

必ず出口を確認して、出口に一番近い所に座る事、携帯と名刺、

ファイルは必ず持ち歩く事を心がけている。

財布は鞄に入れず、車の中の分からない所に置いてある。盗まれると面倒だからだ(その日は、持っていってしまった)

私のクライアントの家へ入る礼儀として、玄関先で靴は必ず脱ぐ(よっぽど汚い家で無い限り)靴を脱いだ場合、いざ逃げる時、靴はどうでもいい。






私が働く所で伝説となっているのは、あるワーカーが、クライアントの家へ行った後、

SWAT(武装警察)がその家に乱暴に入って来て、催涙弾を投げ込み、床にうつぶせになる様に命じられた事。

そのワーカーさんは、その時名刺を持っていなくて、身分を証明出来なかったこと。というのがある。





私は、そのような伝説の仲間入り、とお気楽な事を言っている場合ではないが、、、。

という事は、あの家は、監視されていて、私が家に入る所から出る所まで、

監視されていた。その家からだいぶ離れた所で、その家のものには気付かれない様に、

家から出て来た私に接触した。という事になる。



ますます、映画ドラマとかぶって、

「いったいどこからどこまで、私は監視されていたんだろう?」

もしかしたら、私のうちにも、覆面パトカーと警官がいたのだろうか。。

と想像したくなる。と旦那に言ったら、私を張り込むなど、お金の無駄使いだから、する訳が無い。とい言われた。




ソーシャルワーカーというもの、人相手、

時々こういう、エキサイティングな事がある。



それから、ひとそれぞの、悲喜こもごもの人生を感じずにはいられない。


そして、被害者のご冥福と、ご家族の悲しみや苦しみがが少しでも癒えるよう、心からお祈りする。



すぐにオフィスに戻り、ボスに報告。

みんな、びっくりだが、堂々としている。

この商売、いろんな事が有りすぎて、みんなこういう事には、鈍感になっているのだ。


すぐさま、Critical Incident Reportを書き上げた。

ボスとの相談し、もちろん今後は学校や図書館で会うことと決定。






続行中のため、完結編、番外編が有るかもしれない。。。(もしかしたら、、多分)

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山葵のある日の午後。

クライアントの家からオフィスへ車でドライブしながら向かう途中、

市内のとある、コンド(集合住宅又は、アパート)が並ぶ住宅街を走っていた。

1時間くらいクラインとの家族と話を終え、トイレに行きたくなったので、

コンビニか、ガソリンスタンドを探していたのだ。

ちょっと走っている間に、後ろのいたRAV 4が、パトカーに道を譲って、

そのパトカーが私の後ろを走っているのに、気がついた。



『え、もしかして私??』



と思いながら、パトカーが私を追い抜く事を願いながら、速度を落とした。

私を追い越すどころか、一緒に速度を落として、終いには、サイレンを『ぷぉ』っとならして、私に止まる様に指示した。



『ゲッ!!!私だ!!』と、すぐさま車を路肩に止めた。





そして、警察官が2人も、車を降りてくるのが、サイドミラーから見えたので、待っていた。

その間、『私の運転がまずかったかしら???もしかして、車の登録のシールを貼ってなかったから?

(つい最近、車を買い替えて、登録のシールを貼ってなかった)』

ほんの5秒程だったが、いろんな事(特に悪い事)が走馬灯の様に頭の中を巡る。

良くテレビや、映画で見ていた、パトカーが犯罪者の車を止めるシーン、そのものである。


警察官がドライバードアに立ったので、山葵、ガラスを明ける。





警察官、『Hello, Madam』

私 『Hello』(少々引きつりながら、笑っている私)

警察官 『How's it going?』

私 『Not too bad』

警察官 『Car registration, your driver's license, and insurance, please』

私 『Sure』


ダッシュボードを明け、車の登録書、後ろの座席においてあったバッグをとるために、のけぞる様に手を届かせる。そして、運転免許書を取り出す。

一通り取り出して、警察官に渡す。


警察官『Is that your car?』

私 『Yes.』

警察官 『Who is this person on the car registration?』(車の登録書には、旦那の名前がある)

私  『That's my husband』

警察官 『XXXX?(旦那の姓』

私 『Yes.』


警察官 『You haven't put your sticker on your plate, that's why we couldn't find your car in the system.』

君、シールをプレートにはってないから、君の車の情報が出てこなかったよ。

私 『Sorry, I should've done it』


警察官 『O.k. Sit tightly』(しっかり座席に座ってて。逃げるな。という意味)

私 『O.k.』


私、これからどうなるんだろう。。。とぼんやりしていた。

あんまり、怪しい行動はしない方がいいと思い、ぼんやり前を見ていた。

その間、通行人が、じろじろ私を見ているのが分かる。


はずかしーーー。私は何にも悪い事してないよー。



一通りの書類を、後ろに止めてあるパトカーへ持って行った。

(多分、パトカーの中にあるコンピュータで私のバックグラウンドチェックをしているはず。)


ぼんやりしていたら、もう一台、普通のセダンが私の車の行き先をブロックする様に、すごい乱暴に走って来て、停止した。


『なんて乱暴な運転なんだ』と思ったのもつかの間、

なかから、男性が出て来た。そして、後ろの警察官が、パトカーから出て来て、

私の車の目の前で話をし始めた。


私服の男性がやって来て、

『Hello』


私 『Hello... Am I in trouble??』っていう言葉が最初に出た。

なんと言う、大胆な私。  シャイだった私が、成長したものだ。

後で辞書で調べたら、in trouble は (逮捕、検挙されそうになる)という意味もあるそうだ。知らんかった。


この時点では、警察は私を疑っているわけであるから、言わない方が良かったかもしれない。



『Hello, I'm XXX. A detective. Would you mind stepping out from your car and coming to my car?』

私は、XXX刑事です。ちょっと車から降りて、私の車へ来てくれないか。。




私、『えぇぇぇ!!』と、心の中で叫ぶ。


もちろん、他の警察官は、私の運転免許書、車の登録書、保険、全て持っているため、逃げる事も出来ない(逃げようとも思ってませんでしたけど)


言われるがまま、私服刑事の車の後部座席に乗り込むわたし。。。







長くなるので、続きは、次回。ふふふ。。。

一生に一度有るか無いかの経験でした。

だから、ソーシャルワーカーは止められない!!

乞うご期待!

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