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カナダ国AB州でソーシャルワーカーしてます。 生活の一こま、カナダのニュースなど、 徒然に書き綴ってます。メールはこちら wasabisyouu@gmail.com
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今日は、アルバータ州の児童福祉の仕組みについて書いてみようと思う。


児童福祉の仕組み、運営の仕方は、教育、医療などと同じように、

州の管轄なので、州ごとに違っている。



でも、州ごとと言っても、一つの州は日本の何十倍も大きいので、

州内で管轄が分かれている。



アルバータ州は、確か10区(?)ぐらいあったと思う。

この市と周辺の市、町は、第6区。



この区内の中に、たくさんの児童福祉事務所がある。

通称、Children’s Servicesと言われている。

Children’s Services のケースワーカーは、公務員である。

半数以上は、BSW、RSWを持っていない人が多い。。

この職種は、RSWを免除されている。

でも最近では積極的に、BSW、RSW、RSWを採用している。



一度、BSWを卒業した、3年前ぐらいに、この仕事にアプライしたが、

一次試験は、筆記、二次は面接。面接で落ちた。

今から思うと、いかなくてよかったと思う。




ある家庭が、Children’s Services に関わる流れは下記のとおりである。



1)学校の先生&SW、病院のSW、医者、看護師、ディケア(保育所)

(指定時間通りに連絡なしで子供を迎えに来なかったら、ネグレクトと見なされて、即刻通報)。

周辺の住民、警察、両親、家族、親戚、知り合いなどが、子供が何かおかしい、(虐待やネグレクトされている)と思われたら、報告。

匿名なので、誰が報告したか、分からないようになっている。

AB州では、子供が虐待、ネグレクトの兆候が見られた場合、

通報する事が義務付けられている。

確証がなくても、報告する必要がある。

確証、立証するのは、児童保護委員の役目だからだ。






2)Children’s Servicesの、Assessor(調査する人)が、学校、病院、などにやってきて、調査する。

学校、病院に訪問(子供が話を出来る場合、親に話を聞く前に、

子供に話を聞く)、そして家庭訪問。

緊急の場合は裁判所から許可をもらって、子供を親などから引き離す。

そうでない場合は、10日以内に、調査を完了させ

(家族、先生、いろいろな人から話を聞く)、

子供が安全か、保護の必要があるか、または、Family Enhancement Agreementと言って、

任意のサービスに移行させるか決める。



この時点で、Assessorから、他人であるケースワーカーに移行するのである。

調査人は調査をするのが仕事、ケースワーカーはその後の

保護観察役と言ったらいいだろうか。



AB州のChildren’s Servicesのケースワーカーは、日本と違い、とても力がある。

その家庭が、ケースワーカーが来た際、居留守を使っても、

警察と同じように、裁判所から許可をもらうので、協力しないと、

即刻子供を取り上げられる可能性がある。



この市には、日本のような、セキュリティの固いマンションなど少ないので、

プライバシーの壁と言うのはあんまり存在しない。




3)子供の危険な状態にある場合、Apprehension (子供を親や保護者から引き離し)。

Assessor は、裁判所へ、Temporally Guardianship Order(対外4〜6ヶ月)、

Children’s Service 、いわゆるアルバータ州政府が、保護者代わりになる

と言う裁判所の命令を出してもらう。

(もちろん、親や保護者は、弁護士を立てて異論を唱える事が出来る)

その間、子供はFoster careやグループホームなどに預けられる。



(もちろん、Foster careやグループホーム内が、一番安全とは限らない。。

子供に悪影響を及ぼす可能性も大である)。




4)そして、Children’s Serviceが、私ら非営利団体へ、サポートの依頼をリクエストするのだ。

究極の目標は、子供が家族のもと帰る事、家族が十分に、子供の世話、

保護など出来るように助ける事である。

保護者、家族、Children’s Services のケースワーカー、

Family Support Worker が一緒になって、

より良い家庭環境を営んで行けるように、協力し合うのである。




裁判所の命令の中に、家族は、Family Support Workerとは、

一週間に最低1回、多く時には、3、4回会う事とというのが組み込まれている。

もし会わなければ、協力する意向がないものと解釈され、

子供は帰ってくる時期が延びたりする

(ケースワーカーがまた、裁判所に訴えて、命令の変更を願い出るのだ)



5)Temporally Guardianship orderが切れたり、切れる前に、改善が見られた場合は、

子供は家庭へ返され、case closed となる。

Supervision Orderと言って、3、4ヶ月、保護観察の期間が、裁判所から命令される事もある。

子供への、政府が保護者代わりとなる期間は決まっており(Temporarlly Gurdian Orderなどの元で)、

10歳以下は、通算400日だったか。。(うろ覚えであるが)。

それ以内で改善が見られない場合は、Permanent Guardianship Order (極端に言えば、親が、親権を放棄して、政府が保護者となるという命令)を

裁判所に提出するのである。

もちろん、親は、弁護士を立てて、異議を唱える事が出来る。



もし、Permanent Guardianship Orderが裁判所から認められると、

子供は、親戚、養子縁組、グループホームで暮らす事になる。

18歳まで、州政府は子供たちの面倒を見る事になる。




上記にも書いた通り、完璧で、一番いいシステム、運営の仕方とは言い切れない。。いろいろ欠点などがあり、さらに改善の余地あるのだ。


前に、どなたから 、『市内のどのエリアが多いか』と質問されたが、

答えは、どこも同じ。



もう一つ、低所得は必ずしも、子供の虐待やネグレクトの原因とは限らない。

もちろん、お金がないと、ストレスや夫婦喧嘩の原因となったり、

いろいろなオプションが狭くなるのは、否めない。




そして、もう一つの問題は、万年ケースワーカーの人手不足。

年々、どこの事務所もケースは増えているのに、ワーカーが増えない。

一人当たりのケースが30〜40になる事もある。

そして、ワーカーが燃え尽き、辞めて行く、そして人手不足の悪循環である。



家族、友達、親戚や地域のサポートがあるか、頼れる人がいるか、

我慢せずに、「助けて」と言える事が出来るか、

そういう信頼感のあるサポートがそばにいるか、


そういう社会つくりが必要、

というのが、重要なのかもしれない。


It takes a village to raise a child.

一人の子供を育てるのに、村一つの協力が必要なのである。


である。



最近また、日本で、5歳になる子供が虐待死というニュースを耳にし、心が痛んだ。


日本は、しっかりとした児童福祉のシステムを、早急に作る必要があると思う。

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