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カナダ国AB州でソーシャルワーカーしてます。 生活の一こま、カナダのニュースなど、 徒然に書き綴ってます。メールはこちら wasabisyouu@gmail.com
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とある仕事中の出来事。

ウチのクリニックでは、時々、アポ無しの患者さんがやってくる。

もちろん、このクリニックは予約制なのだが、患者さんが待つ気があれば、

セラピストの誰かが、何の用か話を聞くことになる。


先日、86歳のおじいさん、やせ細り、ひげも、サンタのように白いヒゲと髪の毛が、

無造作に生えている。着るものもホームレスのような服を着て、荷物をいっぱい持っていて、

おぼつかない足取りであった。

ちょうど私が時間があったので、このクリニックにどんな用があるか、聞く事にした。



聞くと、おじいさん、50年以上前に養子に出した息子を捜しているという事。

その息子の、親戚(または知り合い)がこのクリニックで働いていると言う事を

聞いて、やってきたそうだ。

息子の名前も、ちゃんと覚えている。

その知り合いの人に、息子の本当の母親がどんな人だったのか、伝えたい。

というのだ。

フロントの人が、言うには、その人は、14年前に引退していて、

もうこのクリニックにはいないらしい。


プライバシーも絡んで、私にはどうする事も出来ない。と伝えた。

Children's Servicesにも聞いてみたそうだ。

あまりにもやせこけていたので、フロントの人も、私も心配になって、

シニア向けのソーシャルワークサービスがある所を教えた。

でも、もう既に行ってきたそうだ。

ちょっと後ろ髪引かれるような思い出、エレベータに乗る姿を見送って、

オフィスに向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後、フロントから電話があり、

フロントの人が、その彼が言っていた知り合いに電話をしたのだそうだ。

そうしたら、そのおじいさんが言っていた事は、


すべて、幻想


という事だった。




ラッセル、クロウの、Beautiful Mindを見た人はお分かりになると思うが、

現実と幻想の区別がつかない精神の病気がある。


果たして、あのおじいさんは、今日も、存在しない息子さんを探し、

さまよい続けているのだろうか。。


本当に悲しく、切なくなった。




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